さて、はちみつとはミツバチが花から吸ってきた蜜を集めたものだと、先ほどご説明しました。しかし、私たちが直接花の蜜を吸ってみて も、はちみつのように甘い味はしません。花の蜜がはちみつになるには、ミツバチの力が絶対に必要なのです。 はちみつができる過程は、だいたい次のようになっています。 花が咲くと花蜜水というものができます。それをミツバチが吸って、体の中の袋に溜めて巣に戻ります。お腹を大きくして帰ってきたミツ バチを捕まえて、そのお腹を軽く押してやると、口からピュッと蜜を出します。それを舐めるとちょっと甘い味がします。でも、まだはちみ つの味はしません。なぜなら、まだ水分が多すぎるからです。 蜜を集めて帰ってきたミツバチは、唾液と一緒に蜜を巣の中に出して、どんどん溜めていきます。一匹の蜂が集めてくる蜜はそう多くは ありませんが、まとまると相当な量になります。 巣の中にはたくさんのミツバチや幼虫が住んでいます。その体熱や運動熱によって、蜜の水分はどんどん蒸発していきます。水分が蒸 発すると、密は濃縮されて、やがて十分な甘みをもつようになります。それが、みなさんがよくご存知のはちみつです。 もちろんミツバチは、自分たちで利用するために花の蜜を集めて来るのですが、その自然の習性をそのまま使わせてもらうのが、はち みつ作りというわけです。
↑ミツバチの巣箱。この中に14枚から18枚の巣枠が入っている。 ↑こうして採れたプロポリスは、化粧品や石鹸の原料になる。 しかし、ミツバチの自然の習性だけで採蜜ができるわけでは、もちろんありません。そこに人間の手を加える必要があります。 養蜂には、専用に作られた木の箱を用います。その中にミツバチに巣を作ってもらうわけです。その箱を「巣箱」といいます。巣箱には、 「巣枠」と呼ばれる枠のついた板が入っています。ひとつの巣箱の中には、全部で6枚から9枚の巣枠が入っています。ミツバチは、こ の巣枠の上に自分たちの巣を作って、蜜を溜めていくのです。 ミツバチが蜜を溜める前の巣枠は、「巣礎(すそ)」と呼ばれます。ミツバチの勢いにもよりますが、ほぼ1日で、この巣礎が蜜で一杯に なります。蜜が十分に溜まって、はちみつが採取できる状態になった巣枠を「蜜巣(みつす)」と言います。 巣箱から蜜巣を取り出すと、ずっしりと重く、片手では長い時間持つことができないほどです。このひとつの蜜巣には、およそ1升(1.8l) のはちみつが溜まっています。これを遠心分離機にかけて、はちみつを搾り出すわけです。 西澤養蜂場では、1年間でおよそ1万枚の蜜巣ができます。ここから、1斗缶で1500本から1600本くらいのはちみつが採れます。 はちみつの基準は、糖度80度以上。この水準を維持するのは実は難しいのですが、糖度が低いはちみつは、水っぽくて、長い保存に 耐えれません。高品質のはちみつをお客様に提供するためには、常に基準をクリアする努力を続けなければならないのです。 〈第1回終わり〉